オーバーステイの外国人

オーバーステイ(Overstay)

オーバーステイは、在留期間を徒過しても日本に滞在を続ける不法滞在者のことをいいます。
オーバーステイは、大きく分けて不法入国と不法残留に区分できます。

不法入国は、パスポート偽造により入国した外国人、入国審査を受けることなしに入国をした外国人、氏名・国籍等を偽り入国した外国人を指し、一方、不法残留は、在留資格を持ち適法に日本滞在を続けていたが、在留期間の経過後も在留資格の更新・変更を受けずに日本滞在を続けている外国人を指します。

オーバーステイをしている外国人に対して行われる在留特別許可申請手続きの流れ

オーバーステイから在留特別許可への要件

  1. オーバーステイをしている外国人と共に入国管理局の警備部門に出頭します。
  2. 【在留特別許可申請手続きの必要書類】

    • 陳述書
    • 申請理由書
    • 意見書
    • オーバーステイをしている外国人のパスポート
    • オーバーステイをしている外国人の在留カード(在留カードがある場合)
    • オーバーステイをしている外国人の写真
    • 戸籍謄本
    • 住民票
    • 履歴書(結婚をしている場合は日本人の配偶者の分も合わせて提出します)
    • 職歴証明書
    • 在職証明書(結婚をしている場合は日本人の配偶者の分も合わせて提出します)
    • 課税証明書・納税証明書
    • 源泉徴収票
    • 確定申告書(自営業の場合)
    • 卒業証明書
    • 残高証明書
    • 不動産登記簿謄本(不動産を保有している場合)
    • 結婚証明書(結婚をしている場合)
    • 出生証明書(子供を出産した場合)
    • 母子手帳の写し(日本人の配偶者が妊娠している場合)
    • 賃貸借契約書の写し
    • 住居から最寄り駅までの地図
    • スナップ写真
  3. 入国警備官がオーバーステイをしている外国人に対して違反調査を行います。
  4. 入管によるオーバーステイの調査

    違反調査は、退去強制手続の第一段階であり、退去強制事由(入管法第24条に規定)に該当すると思慮されるオーバーステイをした外国人に対して、入国警備官による事情聴取が行われます。

    事情聴取はオーバーステイをした外国人の生活に関する質問が多くを占めます。事情聴取した内容に食い違いがないか、関係者も含め質問が繰り返されます。

  5. オーバーステイをしている外国人に対して仮放免申請を行います。
  6. 仮放免許可申請を行う

    入国警備官の違反調査により、オーバーステイが明らかになると、収容令書が発行され、形式的な収容がなされることになります。
    オーバーステイをした外国人が刑事処分等により身柄を拘束されているとき(未拘留、服役中など)には、収容令書により身柄を拘束しないときでも退去強制手続を行うことができる旨の規定があり、容疑者を収容しないまま、違反調査を行い、入国警備官から入国審査官に事件を引き継ぐことがあります。

  7. 入国審査官がオーバーステイをしている外国人に対して違反審査を行います。
  8. 入国審査官によるオーバーステイの外国人に対する違反審査で違反事実が認定されると、違反事実の認定通知書が交付されます。
    認定通知書の交付後、オーバーステイをした外国人がその認定が誤っていると主張したり、あるいは、誤ってはいないが、日本での在留特別許可を申請したい場合は、第2段階の審査に当たる口頭審理を3日以内に請求することができます。

  9. 特別審理官がオーバーステイをしている外国人に対して口頭審理を行います。
  10. 在留特別許可の口頭審査

    口頭審理は代理人・日本人配偶者の立ち会いが可能です。口頭審理が終わると、退去強制の事由に該当するという判定がなされます。
    この判定が出たら3日以内に法務大臣に対して異議の申し出を行います。
    オーバーステイをした外国人が判定を誤っていると主張したり、あるいは、誤ってはいないが在留特別許可の申請をしたい場合は、第3段階の審査に当たる法務大臣への異議の申出を行うことができます。

  11. 在留特別許可申請に対して法務大臣による裁決が行われます。
  12. 在留特別許可とは、入管法第24条に該当する退去強制されるべき者に対する恩恵的措置です。
    不法残留或いは不法滞在する違反者が自己を在留させるべきと要求する権利があるわけではなく法務大臣が在留特別許可を与えないとしても、違反者の地位を害するものではありません。

    在留特別許可を与えるか否かの裁量は、単に違反者の経歴や家族関係等の主観的、個人的事情だけでなく、国際情勢、送還事情及び内外外交政策等も総合的に考慮して決定されます。
    また、主観的、客観的事情は個々に異なり、在留特別許可の許否についての固定的或いは一義的基準はありません。

    類型 態様
    永住許可を受けているとき 日本社会における定住性を考慮し、在留特別許可にあたり特別に配慮することのできる事由として定めたものです。もっとも、永住許可を受けているからといって必ず在留特別許可が与えられるわけではなく、有利な事情の一つとして考慮されるということを意味します。
    かつて日本国民として日本に本籍を有したことがあるとき 日本社会との地縁関係を考慮し、在留特別許可にあたり特別に配慮することのできる事由として定めたものです。
    人身取引等により他人の支配下に置かれて日本に在留するものであるとき 人身取引等により本国の生活環境から不法に引き離されて、日本に在留している状態をいいます。通常は、一定期間経過後の帰国を前提とした「特定活動」の在留資格が付与されます。
    その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認められるとき 実務上、在留特別許可が一番多いのはこの類型ですが、具体的にいかなる場合がこれに該当するのかが法文上は明らかでありません。